美しいぼろ布展

 参拝客で賑わうなか、一度行ってみたかった浅草アミューズミュージアムに行ってみました。

 民俗学者の田中忠三郎氏が昭和40年代から東北の村を歩き回り収集した、ぼろ布で継ぎはぎされた生活布のコレクション。

 家族に少しでも暖かく丈夫な服や寝具を作りたいーーそんな思いから寒冷地の辛い暮らしのなかで女性たちが縫いあげた、何重にも糸で重ね合わされた布の数々。

なかでも寝るときに敷く「ボドコ(座布)」は出産のときにも使われ、祖父母や父母の使い古した着物の布を重ねて縫い繋いでいったものだそうで、無言の迫力がありました。

 

ーー文字通り、何世代にもわたる母親たちの血と汗と涙、そして羊水にまみれながら引き継がれてきたものである。(展示より)ーー

 

 少し前の日本では、当たり前のように受け継がれてきた暮らしですが、平成が終わろうとする今見ると、まるで美しいアートのように感じられました。