林芙美子記念館

新宿区落合にある林芙美子記念館。

桐野夏生『ナニカアル』を読んで林芙美子の終の住処を見てみたくなり、行ってきました。

 

妙正寺川を渡り、階段坂に沿った落ち着いたエリアで、落ち葉が舞う庭には、ザクロ、梅、南天などが植えられ、風情のある日本家屋でした。

 

この家を建てるために芙美子は200冊もの本を買って情報を集め、京都にも通い、大工も選んで、「風通しのよい家」を条件にして建てたそうです。

 

各社の編集者が上がって原稿を待たされた客間、気持ちの良い茶の間、インド更紗を貼った押入、竹の濡れ縁、石を研ぎだした流しなど、趣味のいい家でした。

売れるまで貧困を極めた芙美子でしたが、選択眼のある人だったのでしょう。

 

戦後も多忙を極めるなか48歳で急死したので、この家に住めたのは10年間。

なんとも呆気ないですが、こうして今も多くの人を楽しませてくれていることを考えると、良いことに資産を使ったのだなと思います。