メメント・モリと写真ー死は何を照らし出すのか

東京都写真美術館のコレクションを中心に「写真と死」というテーマで開かれた展覧会。

ラテン語で「死を想え」を意味する「メメント・モリ」という言葉は、ペストが大流行した中世には絵画や音楽などにも影響を与えました。老若男女階級問わず「死」は平等に訪れるーその様子を描いたハンス・ホルバイン『死の像』の版画がまず展示されています。

 

続いて、ロバート・キャパや澤田教一の戦場写真、藤原新也のインド、荒木経惟の『センチメンタルな旅』、若くして亡くなった牛腸茂雄の作品…いずれもの死の気配がカメラのうしろに漂うようです。

 

人間や風景、あるいは記憶や思いを1つのイメージに定着させる「写真」という表現は、捉えた瞬間から過去のものとなリますが、同時にそこに永遠に留まる……新たな感染症の流行や戦争が世界をおびやかしていますが、この瞬間もまた過去のものとなり、時間の流れはとどまることがないということを、改めて感じさせる写真群でした。