ブランクーシ 本質を象る


ルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシの彫刻を中心とした作品展。

ポスターにも起用されている初期の直彫り作品『接吻』に惹かれて行ってみました。

 

ブランクーシは、美術学校を卒業後、オーギュスト・ロダンから高く評価され、ロダンの工房で下彫り工として働いていました。しかし、徹底した分業制の工房に違和感を感じたのかすぐに辞めて、石の塊からフォルムを彫り出す直彫りの技法を編み出し制作するようになります。

 

初期の水平に置かれた卵形の頭部作品『眠れるミューズ』なども、表面に具象をとどめつつ思念をイメージさせるような空気感がありとても魅力的でした。

 

その後抽象化をさらに高めて制作したブロンズ作品は、ピカピカに磨かれ、フォルムそのものにパワーがみなぎっていて周辺の空気すら張りつめているようでした。そのカタチを探し当てるまでのブランクーシの集中力と苦悩を物語っているようで、近寄りがたい雰囲気でした。